眠れぬ夜のことば紡ぎ

紡もえが、日記やエッセイを置いています。

生きた心地

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怖い夢をみた。

よく怖い夢をみる。おばけとかホラーとかそういうのじゃなくて、人生で起こった嫌なシーン総集編が、繰り返し繰り返し再生される感じの夢。内容を詳しく覚えていることはあまりなく、目が覚めた瞬間は、悲しみがじんと染みるような心身の感覚だけが残っている。

 

今日もそうだった。悲しみに包まれて目が覚める。

冬用に替えたふかふかの寝具はあたたかくて、身体で感じている幸福と、心で感じている絶望との差に混乱していた。「昨日何かあった?」と自分に問いかけながら、うっすらと残っているシーンが現実ではなかったことを確かめる。

大事な人たちにひとりひとり別れを告げられたり、嫌いな人に改めて向こうから嫌いだと言われたりする夢だった。この朝の感覚は、何度繰り返しても全然慣れない。いつもは顔を洗う、ごはんを食べる、などの暮らしの動作をしているうちに消える。それで消えなければ、仕事をしていれば消えていく(私にとって仕事は本当に救い)。でも今日は仕事をしていてもなんとなく感覚が残っていて身が入らない。15時に切り上げて、自分をいたわることにした。

 

一度眠ろうかと思ったけど、書くことで癒される予感がして、PCに向かう。こうして自分の感覚を言葉にできることに救われている。昔はそういうツールはピアノだったけど、もう昔みたいにぺらぺらしゃべるようには弾けない。また弾けるようになるといいな。Spotifyの「泣きたい」のプレイリストをかける。たぶん泣きたかったのだと思う。現実に何も起きていないのに、夢に泣かされるのは悔しい。でも正しくは、「何も起きていない」じゃなくて、ずっと傷が癒えないまま、傷口を開いてはまた忘れているだけなのだと思う。今日は回復の日。10代の時に思い描いていた大人とは違うけれど、こうやって突然くる回復の日を「お~きたか、よしよし」となだめられるの、いいじゃん。不安と一緒にダンスしてきます。

3:33

 

不眠が極まって「よし書くか」とブログトップを開いたら、前回眠れなかった時もほぼ同じ時間に書いていた。3時、はまだ深夜感があるけど、4時はもういよいよ朝な気がして焦ってくるのだと思う。

 

入眠を逃したら、できるだけ気にせず、好きなことをして過ごすようにしている。深刻になってもしょうがないからだ。ほぼ毎日のことなんだから、眠れないと思い悩んでまた眠れなくなるより、楽しんでしまった方がいい。やってやるぜ。読書、小腹満たし、ほかほかカモミールティーでティータイム……。睡眠薬が仕事してくれる日はここまでのどこかで眠りにつく。睡眠薬、おまえは生きてるかい?な日はティータイムしてもまだ目はギラギラ。「楽しんだ方がいいぜyeah〜!」とかもう言ってられず、「手は尽くしたのですが…」と伝える執刀医の面持ちでここに辿り着く。パーリーピーポーだったのに…。

眠れない、今日も眠れない。

 

 

3:32

 

眠れずに静かに考えている。

 

眠りとの戦歴もそこそこ長くなってきた。もう1万回の夜を越えてきたはずなのに(Aqua Timezじゃないけど)、ちっとも眠りが上手くならない。

 

Aqua Timezじゃないって書いたけど、あの歌詞はいいよなあ。

 

愛されたい、でも愛そうとしない

その繰り返しの中を彷徨って

僕が見つけた答えはひとつ

怖くたって傷ついたって好きな人には好きって伝えるんだ

 

ですよ。中学の時よく聞いてた懐メロ。

しかし28歳になる私は千の夜をこえて愛を伝えるより眠りにつきたい。千回の眠りの経験を今の入眠に活かしてほしい。すごい仕事の話みたいになったね。

 

なるべく薬に頼りたくなくて3時まで待ったわけですけれども、ついに諦めました。悔しい〜〜。じきに睡眠薬の抗えない眠気がくる。眠ると、考えないようにしていることが全部夢になって再現される。何も見ずに深く、深く潜るような睡眠を得られたらいいのに。

 

 

 

夏の肌

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昨日海で塗った日焼け止めが、まだ落ちきっていない肌の表面。あんまりゴシゴシすると良くないから、お風呂に入るごとにゆっくりと落としている。私の肌は、赤くならずにすみやかに小麦色になる。ここ数年は日差しの強いところに行っていなかったので、いつもより健康的な色になった自分が新鮮。

 

長いこと担当してもらっている美容師のお姉さんに、そろそろ頭皮の老化が始まってるから日焼け避けてね、と衝撃の事実を告げられた。歳を重ねることは魅力的だけど、衰えには抗いたい。ちゃんとしよ〜、と思ったにも関わらず、髪用の日焼け止めを振りかけるのを忘れる。ひりつく頭のてっぺんを懸命に冷やしている。

 

江ノ島は冗談抜きの暑さ。お化粧が一瞬で全部溶けるほど。でも落ちる汗は心地よかった。どこかで聞いた歌詞みたいに澄んだ空を見た。かもめが飛んでた。沖にはカラフルな帆が並んでいた。夏は苦手だけど、この美しさはずるいな、と思った。

湯船でタイムアタック

 

ある程度制約があったほうが、本音は出やすいのではないかと思う。

 

湯船で日記を書けば、のぼせるまでのタイムアタックになっていい感じなのではないか、という気持ちをちょっと小難しく言ってみました。

 

前に書いた日記の最後に「118日前」と表示されていて、ああまたそんなに生きたのねと思う。必死になっていたら一瞬で毎日が過ぎる。深刻になったり浮かれたりしているうちに、気付いたら想像していたよりかなり前に進んでいた感覚がある。ひとつひとつ重ねてきた積み木が天に届きそうで、雲の上の景色への期待と、「届く手前で崩されませんように」という不安が入り混じる。戦いの末いつも不安が少し勝つ。あともう少しで崩された記憶のほうが、届いた記憶よりはるかに多い。

 

あれもこれも準備をして、息切れしながら当日を迎えるばかりだったから、当然成功体験も120%出し切ったときの例しかない。「肩の力を抜きなよ」みたいな言葉を信じられずに頑張り続けてきた。でも最近ちょっとだけ、本当に好きなものがわかってきて、それに伴ってその他の力は抜けるようになりつつある。

嬉しい反面、怖い。「肩の力を抜くこと」と「手を抜くこと」を捉え違えていたらどうしよう?

 

今朝、宮﨑駿監督の最新作をみて、「説明はなくてもいい」と背中を押された気がした。

わかられたくて、わかりやすく生きようとしてきた。まだわかられたい気持ちが自分を上回る時がある。そろそろ解き放たれたい。

説明がなくても美しかった。私は美しければそれでいいと思う。美しさは、その人が持つ意志によって貫かれている。私を大事にしない人に、私だけの美しさを奪われたくない。

 

と、ここまで書いて、「大口叩いてみた」とまた思っちゃった。すぐには無理かあ〜〜〜。いつかは自分に認められたい。茶々入れんでくれ。「うるさい!」って言ってやりたい。汗びっしょりの湯船より。

 

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大事なこと書き忘れた!

朝日が強く差し込む寝室に、新しいカーテンが届いた。「プール」という名前の色で出来たそれは、間から差し込む光を水面みたいにしてくれて、本当にお気に入り。大好き。目覚めを綺麗にしてくれてありがとう。

今年の抱負とか

 

おひさしぶりです。

ジェーン・スーさんの「おつかれ、今日の私。」を読んでるうちに、文章にしたい言葉たちが頭の中でふわふわし始めたので、外に出してあげることにしました。お風呂あがり、ひたひたのパックを顔にのせた私です。どうもこんばんは。

 

今日は祝日で1日おやすみで、ゆったり…あ、ちょっと書く前にマニキュア塗ります。PCを触っているときに塗ると、「気づいたら乾いてる!ラッキー!」って感じになってよいのよ。…今日は大好きな友人と会って、リップと春色のマニキュアを手に入れ、桜の枝を買って帰ってきました。すごい春だね。お風呂に入っておなかが満ち足りてもまだ20時台。この頃、読みたい本も観たい映画もたんまり、あれも片付けたいし、これも考えたい…などなど盛りだくさんな私には、このまっさらな時間が一番のごほうびな気がする。はい、今パックを終えてぷるぷるのお肌が誕生しました。

 

毎年立ててる目標とか抱負みたいなものが、すっと出てこなかった2023年明け。うーーーっと踏ん張って絞り出し、「武器をもつ」と仮置きしていた。自分を守ってあげられるような、わかりやすく強いスキル・経験をもつ…って感じ。今思うと、そういうわかりやすいものがないと、自分が存在していい気がしなかったというか、自信がなかった。厳しいね。でも聞いてください。ここ数日、私は急に実感しちゃったのです。世の中!なんと!全部を白と黒にわけなくてもいいんです!知ってた?知ってたよね、たぶん。私も知ってた。けど「とは言っても!気持ち悪いんです!どっちかわからないのが!」って状態だったんですよ。だから「武器をもつ」なんて、結果が2択に分かれるような目標を置いてた。武器を持てたか、持ててないか。年の終わりに、持ててなかった…って落ち込む私超かわいそうじゃん。「武器持てた!」って自己評価できる確率そもそも低すぎるじゃん。どうなろうが一生懸命毎日生きてるのに、全部〇か×か、良いか悪いかで判断しなくてもいいよね。何かを決めずにじっとみつめている自分も結構いいよ。いい感じ。

 

新年あけましておめでとう、に置いてけぼりにされたような気がしていたけれど、よく考えたら1月1日にきれいさっぱり自分も新しくならなきゃいけないわけじゃなかった。いいじゃんね、3月に明けたって。私の2023年は3月に明けました。おめでとう。来年はいつ明けるかな。

結婚前夜

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1月10日、26歳になりました。明日、結婚します。 今の気持ちを残しておきたくて、久しぶりに自分のために筆を取ります。

 

新たな門出に対する緊張の気持ちとか、なんとなくさみしい気持ちとか、混ざり合った感情がじんわりと体の中をめぐっています。あんまり整理がついていなくて、これが「実感がわかない」って感じなのかもなあとか思ったりして。

これまで生きてきた人生は、気を遣わずに言っちゃうと結構大変でした。自分のことも人のことも全然思うように大事にできなかったし、何にも許せなかったし、いろんなことが悔しかった。私は母が19の時に初めて産んだ子で、小さい頃から、若い母に対する周囲の目線を感じてきました。若いんだから何もわからないとか。周囲が思う子育てを強いられて、母はとにかくいろんな人に気を遣っていたと思います。私は母が立派な母だということを証明したくて、周りの大人を自分の力で蹴っ飛ばしてやりたくて、完璧な人間を目指しました。周りに勝ちたい、というよりは、誰にもバカにされない人になりたくて。私は母の子育ての結果だから。

バカにされたら真正面から怒って、すぐにファイティングポーズをとってきました。ずいぶん難儀な性格です。病気などを経て少しやわらかくなった今も、相変わらずその傾向はあります。そんな私を見てけらけら笑ってくれるのが旦那さんです。

 

私は外界のいろんなもの(人の感情や悲しい事件など)に影響を受けやすく、ひとつひとつに深刻に悲しんだり怒ったりしてしまうのですが、彼はいつも横でケロっとしています。悲しんだり怒ったり百面相している私を笑い飛ばして。それはそれは楽しそうに笑うので、しばらくすると私もなんだかそんなに深刻じゃないかも、と思えてきて…。気づいたら、笑みがこぼれるくらい大丈夫になっています。

彼は私のあやし方が上手です。うつ病が重く、毎日床に伏して泣いていた私に、旅行先でお土産を買ってきてくれたことがありました。そっと開けた包みから出てきたのは、ものすごく泣いているシマエナガのガラス細工。彼は言いました。「こんなに、自分よりめちゃくちゃ泣いてる生きものがいたら、元気出るかなと思って」。たしかに、号泣のシマエナガは見ているとおかしくなってきて、「お~よしよし、どうした、大丈夫よ〜」と、自分の悲しみを忘れて慰めたくなってしまう。そうしているうちに大丈夫になっているんです。今でも辛い時は、シマエナガを慰めて元気を出す儀式をやっています。 

彼は、映画館で食べるキャラメルポップコーンの、一番甘くて美味しいところを見つけ出して私にくれる人です。 耐えられそうにないくらい怖いシーンが来たら、私の目に入る前に目隠しをしてくれる人です。 ほかほかのあんまんの一口目をくれる人です。これからもたぶん私は、たくさんのことを抱えて、何度も自分をやめてしまいたくなると思う。でも、ひとりで戦わなくてよくて。しゃがみこんだ背中を包み込んでくれる存在に、少しだけもたれかかることができるかもしれない。彼にもずっと安心してもたれかかってもらいたい。夫婦になることで、より一層安心して眠れるような気がしています。

 

自分の呪いを解くのを手伝ってもらっているカウンセラーさんに初めて「結婚します」と言ったとき、カウンセラーさんは安堵したように笑って、聞きました。「もえさんにとってお相手はどんな存在ですか」。私は「同志です」と答えました。相手の叶えたい夢のために、頑張れる環境を守っていく、後押ししていく。「大丈夫だよ」って伝え続ける。そんなことをしながら一緒に大人になってきたから。カウンセラーさんとの会話は彼には伝えてなかったけれど、彼はプロポーズのときに「あなた以上の同志にはこれからも出会えないと思う」と言ってくれました。ありがとう。私もそう思います。 これまでの恩は、全然返せていません。 これからもずっと返していきます。 にこにこの家族でいようね。

 

結婚が決まってから、大事な人たちにお礼を伝える日々を過ごしました。入籍前日の誕生日、12年前から私を知る親友が、手紙とプレゼントを贈ってくれました。小さい頃から顔を合わせる度にぶつかり合っていた叔父から、結婚祝いが届きました。

自分を遠くから、近くからみつめてくれている人たちの存在を、結婚という節目に際し改めて感じています。

「生まれてくれてありがとう」と言ってくれた彼と、みつめてくれる人たちを信じて、これからも生きていこうと思います。両親をはじめ、これまでの私を作ってくださった人への感謝と、「ずっと大好きだよ」の気持ちを抱きしめて、筆をおきます。

 

嬉しいときは喜びあって、悲しいときはゆっくり休んで。彼の手を放さず、歩いていけますように。

 

2022年1月10日 結婚前夜の紡もえ